誠-巡る時、幕末の鐘-
捕われた鬼
―――翌朝
奏は鷹と一緒に京の外れに来ていた。
「おいおい、お前もう動いて大丈夫なのか??」
「全然??」
「はい??」
いつもなら大丈夫だとか心配ないだとか言うはずなのだが。
「全然??」
「あぁ。何故かな」
「じゃあ寝てろよ」
鷹は呆れたように奏を見た。
「色々ときな臭いこの時期におちおち寝てられるか」
「そりゃそうだけどよ」
「で??頼んだ件は??」
奏が鷹にそう問いかけると、鷹は目を細めた。
「奏の読み通りだ。あの屋敷に狐が憑いてるのは間違いない。だけどよ、憑きモノってのは普段憑き主から離れねぇだろ??」
「まぁそりゃそうだろうな」
「それがまだ尻尾すら掴めやしねぇ」
鷹にすら居場所を突き止めさせないとは。
余程高位の狐か、あるいは他の妖を食らって力を得た野狐か。
どちらにしても厄介だな。