誠-巡る時、幕末の鐘-



「見張りサボったか??」


「サボってねぇよ!!俺は昨日おめぇから言われて一睡もしてねぇ〜し!!」




鷹は心外なと言わんばかりに眉をひそめた。




「一睡どうのの前に一週間くらい寝なくても軽くいけるだろ??」


「…………いいや、もう。そう、それでいいぜ」




妖とて眠りはする。


人間程には必要としないだけで。


特に鷹のような主以外からもこき使われる哀れな存在には。


だが、鷹は言い返す余力はもう余り残っていなかった。


ここ数日の心労のせいで。




「で??次は居場所を突き止めればいいんだろ??」


「あぁ。厄介なことにならないうちにな」


「……俺にとってはもう十分厄介だっての」


「何か言った??」


「よし。寒いし、ちゃちゃっと行ってくるぜ!!」




鷹は一瞬翼を広げかけたが、再び翼をしまい、自らの足で走っていった。


おそらくレオンが何か言った(脅した)ようだ。



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