誠-巡る時、幕末の鐘-



―――屯所




「お〜い!!奏〜!!」


「たかだぁ〜!!」


「ぎゃうっ!!」




屯所に奏を探しに来た鷹に澪ちゃんが凄い勢いで飛びついた。


脇腹に頭が当たってしまったらしい。


唇を噛みしめて堪えている。




「奏ちゃんならいないよ。何か避けられちゃってるみたい」


「避けてる??奏が??」




澪ちゃんと遊んでいた沖田の言葉に鷹は目を丸くした。


奏は彼らが気に入ってここにいる。


元老院長に逆らってもだ。




「なんかしたんじゃねぇのか??」


「まだしてないよ」


「まだって……する気はあるのかよ」


「ねぇねぇ、なんのおはなし??」


「聞かなくていいお話し。奏がどこに行ったか知らねぇか??」


「たかとおでかけ。……かなでは??」


「…………は??まだ帰ってきてねぇの??」


「……ちょっとどういう事??」




二人の間に緊張が走った。


澪ちゃんも心配げに瞳を揺らしている。



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