誠-巡る時、幕末の鐘-



「くそっ!!やっぱりまたかよ!!」




ピーッ




鷹が高い口笛を吹くと、鴉が数羽飛んできた。


何度か羽を揺らし、鷹の手や肩にとまった。




「お前達、何としてでも雷焔奏を見つけだせ!!」


「カアッ」




一際大きく鳴いたかと思うと、再び空に飛び立って言った。




「鴉って人の言葉分かるの??」


「完璧なのは今のだけだ。だから伝令に使った。だけどな、弱点があって屋内までは無理だ」


「確かに」




どんなに頑張っても鴉を家の中までいれてくれる者などいない。


むしろ追い払われるだろう。




「一旦みんなを広間に集めるよ」


「あぁ、その方が早い」




「ニー」


「あ、おうか!!おうか、あのね、かなでがいなくなったの。おうかもさがして??」


「ニャーォ」




澪ちゃんが庭先に現れた桜花に気づき、そう話しかけた。


桜花は分かったとばかりにそのままくるりと向きを変え、屯所を出ていった。



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