誠-巡る時、幕末の鐘-



―――大広間




「奏はおめぇと会うからって出てったきりだぜ??」




広間には奏の秘密を知る、今屯所内にいる全ての幹部が集められた。




「まさかとは思うが……」


「何だ、トシ」


「あの鬼切って刀まだ見つかってなかったよな??」




土方は鷹の方へ顔を向けた。




「あぁ。レオン様もそれで苛立ってる……っておいおいおい!!」




鷹はうろうろと歩き回り、落ち着きを失った。




「響は!!?響はどこに行ったんだ!?」


「あいつなら夕飯の買い出しに行ってくるって」


「誰と!!?」


「鈴と!!」


「あいつも鬼だ!!」




鷹の様子を見て、みんなまで冷静さを欠いてきた。


これではいざというときに適切な判断ができなくなってしまう。




「みなさん落ち着いて下さい。まだ鬼切絡みかどうか分かりません」




いつもは空気読まない発言続出のナルが珍しくまともな意見を的確に出した。


それを聞いた土方達は一瞬動きを止めた。



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