誠-巡る時、幕末の鐘-
「ここはひとまず鴉達の報告を待ちましょう。下手に動くと逆に大変なことになりかねません」
「そうだな。そうしよう!!」
ナルの冷静な言葉に近藤も頷いた。
腰を浮かせていた者達も、ひとまず落ち着くことにした。
「なぁ、お前、普段からそんな風にしてればいいんじゃね??」
「してるつもりなんですけどね。どうも奏には伝わらないようで…」
藤堂が腕を組み、ナルを見た。
それにナルは肩をすくめ、首を左右に振った。
「かなで、どこいっちゃったんだろ」
「ね。まだ体も本調子じゃないのに」
沖田が膝の上に頭を乗せている澪ちゃんの髪を優しくすきながら呟いた。
自分の体力の限界を知っている奏らしからぬ行動だ。
そのことが余計みんなの心を焦らしていた。
だが、今すべきことは、屯所で報告を待つことだけだった。