誠-巡る時、幕末の鐘-
「お気づきではない??妹君が禁術を使ってまで助け、何だかんだと言いつつ側にいる殿方ですよ」
「………戯れ言を」
「戯れ言ですか??……私と取り引きをしませんか??」
「取り引き??」
珠樹は眉をひそめ、蜜緒の言葉の続きを待った。
「私達の邪魔をしないで頂きたいのです。鬼は脅威になりかねません」
「何をする気??」
「それはあなた様には関係のない事。お知りになる必要はございません」
蜜緒はにべもなく突き放した。
だが、珠樹も素直に聞き出せるとは最初から思っていない。
「代わりに妹君のお心をあなた様だけの物にする術をお教えしましょう」
「奏の心を??」
「ご返答は今でなくて結構。じきに頂きに参ります故……」
そう言ったかと思えば、蜜緒の姿は消えていた。