誠-巡る時、幕末の鐘-
「ちはや、かなでがいないの。さがして??」
澪ちゃんが涙目になりながら千早に懇願した。
大きな瞳から今にも涙がこぼれそうになっている。
「泣くな。奏か??分かった、探すから。泣くな」
「みつけられる??かなで、かえってくる??」
「必ず見つけるし、必ず帰ってくる。さぁ、こいつらと遊んでろ」
神らしい、よどみない断言だ。
そこには一切の迷いが見られない。
神とて全能ではない。
だが、一度発した言霊を違えることはない。
集中しだした千早を邪魔しないように、澪ちゃんは斎藤の膝元に座った。
いつもならば土方の所に行くはずだが。
「澪、副長の元に行かないのか??」
不思議に思った斎藤も澪ちゃんに尋ねた。
「とし、いまこわい」
「恐い??」
「土方さん、澪ちゃんが恐がってますよ。眉間のシワは無くしてください」
「うるせぇ」
沖田も千早の言葉で、いつもの平常心を取り戻していた。
しかし、彼らもまた、後に絶望の二文字を味わうことになる。
時は刻一刻と迫っていた。