誠-巡る時、幕末の鐘-



「……………最悪」




読んで字のごとく最悪だ。


人間が絡んでるなんて。


妖だけならば、最終手段として力でねじ伏せればいい。


しかし、人間が、しかも自分の意志で関わっているとなると、コトは二重三重に厄介になる。




「どっちにしろ術式は使えないし、刀もないからどうしようもないけどね」




言っている内容こそ諦観的なものだが、奏は決して諦めているわけではなかった。


むしろその逆だ。




「壁ぶちこわして出たとして、始末書何枚だろ。……一桁ですむといいなぁ」




奏は体術も習得済みだ。


もう終わった後の始末書の量を気にしている。




「……ふっ。鬼をなめるなよ??」




奏は五枚のうち三枚脱ぎ捨てた。


一番上に着ていたのが一番重かったので一気に体が軽くなったのを感じた。



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