誠-巡る時、幕末の鐘-



―――屯所




「なぁ、まだなのか??」


「知らねぇよ。俺に聞くな」




永倉は千早には話しかけづらいので、原田に聞いたところ、やっぱり予想通りの答えが返ってきた。




「すみません!!買い物に手間取ってしまって!!」




広間の襖が開き、響と鈴が入ってきた。


みんなは響の無事な姿を見て、幾分か表情を和らげた。




「響!!無事だったんだな!!」


「え??」


「そういや奏と珠樹の姿が見えねぇな。……まさか」




鈴が二人がいないことに気づき、土方を見た。




「……今、千早に居所を探ってもらってる」


「……そうか」




鈴は目をつぶって集中している千早に目を向け、腰を下ろした。




「音無君、悪いが食事を作ってくれるかい??」


「え??でも…」




こんな時に自分だけ悠長に夕飯を作っていていいのかと響は渋った。



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