誠-巡る時、幕末の鐘-
「いや、作ってくれますか??他の隊士にこの事を知られるわけにはいかないので」
「あぁ。いざという時に動けないのも困るしな」
「分かりました。急いで準備します」
副長二人にそう言われ、響は台所へ走っていった。
「彼方達にも教えてきた方がいいだろ??人手は多いにこしたことはない」
「あぁ。頼む」
「俺が行くぜ。夜になったからな。飛べる」
鈴が立ち上がろうとすると鷹がそれを制した。
確かに烏天狗の方が翼がある分早いだろう。
やっと体を動かせるとあってそのまま庭に下り、屯所を出ていった。
「あの烏天狗、どこへ行ったの??」
珠樹が入れ違いに屯所に戻ってきた。
鷹が飛び立つ先をじっと見ながら尋ねた。
「おめぇも無事だったか」
「………奏はどこ??」
珠樹はすぐさま現状を理解した。
鈴がここにいるということは一緒に買い物にでた響は屯所にいる。
だが、奏の姿はどこにも見えなかった。