誠-巡る時、幕末の鐘-
「今、千早が探してる」
「…………」
珠樹は千早に一瞥を与えた。
そしてくるりと踵を返して元きた道を引き返した。
「おい、どこ行くんだ??」
「決まってるでしょ??奏を探しに行くんだよ」
「今、彼方達を烏天狗が呼びに行ってる。だからそれまで待て」
鈴は珠樹の肩を押さえた。
珠樹は眉をひそめ、鈴を見た。
「あいつも来るの??」
「人手は多い方がいい」
珠樹は舌打ちをし、壁に背をもたれかけるようにして座った。
鈴もそれを見て、元の位置に座り直した。
「………大体の場所は分かった。だが……」
「何!?本当か!?」
「どこだ!!?」
「待て、おめぇら。千早、だが何だ??」
土方が言葉尻に反応し、難しい顔をしている千早に尋ねた。