誠-巡る時、幕末の鐘-
「何か大きな力に邪魔されて正確には特定できない」
「大きな力??」
みんなは首を傾げた。
神である千早ですらも退ける程の力を持つ者がいるのだろうか。
「分かった範囲でいいから、奏はどこにいるの??」
「京の町の北………貴船だ」
千早は小さな手を顎にあて、眉間にシワを寄せた。
その姿は、全く子供のなりにあっていない。
「貴船といえば貴船の龍神の膝元。好き勝手にできる領域ではないはず」
神といえど、自らの家を荒らされれば怒る。
いや、正確にいうと祟るのだ。
末代まで祟ってやるというのも、神相手では洒落にならない。
自らそのような危険を冒す者がいるとは思えなかった。
「………その通りだ」
斎藤の膝元でいつの間にか寝ていた澪ちゃんが常にはない声音を出した。
みんなの視線が一気に集まる。
ナルは黙って頭を下げた。