誠-巡る時、幕末の鐘-



―――時は逆戻り




「はぁはぁはぁ……着いたぜ」




かなり走り続けてきたので、息も荒くなっている。




「中腹辺りから…参道を少し…離れた所に…山荘がある、だったっけか??」




体力には自信のある原田ですら息を乱している。




「あぁ。……中腹って…どの辺り…なんだ??」


「ニャーア」




永倉が汗を拭っていると、猫の鳴き声がどこからともなく聞こえてきた。


チリンと首につけている銀の鈴が鳴る。


一匹の猫がみんなの後から追いかけてきていた。




「桜花じゃねぇか」


「どうしたんでしょうか」


「分からねぇ」




桜花はみんなの横を通りすぎ、すたすたと先を歩いていく。


時々振り返ってはニャアと鳴いた。




「とにかく行くぞ!!」


「おう!!」




みんなは桜花に導かれるようにして参道を駆け上った。



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