誠-巡る時、幕末の鐘-



「な!!?」


「居合いか??」




ナルが刀を抜いてから納めるまで、まったく見えなかった。


いつもはふにゃりとした笑顔もどこかに消えている。




「おめぇ、実はすげぇんだな」


「………奏には内緒ですよ??」




ナルは人差し指を唇に当て、悪戯っぽく笑った。




「……先に行くよ」


「あ、おい!!」




珠樹はこれ以上待てぬとばかりに駆け出した。


沖田もそれを追った。


屋敷の中に人気は一切なく、みんなは一部屋ずつしらみ潰しに調べた。


だが部屋数が多く、なかなか見つからない。


その時、奥の方に行っていた原田が開かない扉にぶち当たった。




「くそっ!!開かねぇ!!」




扉の取っ手を引こうと踏張っている原田を永倉が見つけた。




「あ、か、ねぇーっ!!!」


「ここか!!?」




二人がかりで扉を開けようとしばらく悪戦苦闘した。


しかし、全くびくともしない。




「おーい!!ナル、ちょっと来てくれ!!」




原田の大声に、みんなが集まった。



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