誠-巡る時、幕末の鐘-



「見つかりましたか!?」




ナルが着くとみんな道をあけた。




「どうやら当たりみたいだね」


「早く開けて」




珠樹にせかされ、ナルは再び刀に手をかけた。


門の時と同じようにいつの間にか扉が無くなっていた。


そしてみんなが目にしたのは、床に押し倒されている奏の姿だった。


ふっと沖田と珠樹の姿がみんなの横から消えた。


気付くと、二人は刀を抜き、忠興の首に当てていた。


奏には当たらないように十分な構え方をしている。




「さっさとどけ、人間風情が」


「奏ちゃんを押し倒すなんて覚悟はできてるよね??」




沖田もいつも絶やさない笑みすら浮かべない。


あるのは無だ。


土方達も部屋の中へ足を踏み入れた。




「随分早かったですね。後一日くらいはもつかと思ったんですが」




周りを囲まれても忠興は怯まなかった。



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