誠-巡る時、幕末の鐘-
「てめぇ!!」
「奏によくも!!」
「自分が何してんのか分かってんのかよ!!?」
永倉、原田、藤堂も怒りを顕にした。
斎藤も眉を寄せ、刀に手をかけている。
居合いの腕が立つ斎藤ならば、刀に手をかける、それだけで十分だ。
忠興はゆっくりと身を起こし、奏から離れた。
「奏、大丈夫か??」
「うん。平気」
土方が奏の乱れた着物の襟を正した。
顔には出ていないが本心までどうかは分からない。
土方はぎりっと唇を噛みしめた。
そして忠興に鋭い視線を浴びせた。
「奏、迎えに来ましたよ」
「ナル、今、扉を壊したのは……」
「珠樹さんです」
ナルは本当に知られたくないのか、珠樹だと嘘をついた。
その珠樹は今、沖田と共に忠興を睨み付けている。
「珠樹、沖田さん。殺しては駄目です」
「どうしてさ!!?」
「奏ちゃん、君、襲われたんだよ??」
二人共納得いかないと奏の言葉をつっぱねた。