誠-巡る時、幕末の鐘-



「私の願い事はね、元老院第二課長。知っているだろ??」




知ってるも何も。


第二課長の潮に奏は何度料理の腕をふるってもらったことか。


そして、元老院の課の長の中で、男女を問わず、絶大なる人望を得ている。


それが第二課長だ。




「奴をねぇ、その座から引きずり下ろしたいのさね」


「馬鹿な。狐が同族内で争いを起こすつもりか??」




奏は眉をひそめた。


利口な狐とは思えないほどの愚直な願いだったからだ。


狐が同族同士争うなんて聞いたこともなかった。


比較的保守的な考えを狐達は持っているのだ。




「同族とはどういうことだ??」


「第二課長、潮様の本性は九尾の狐。狐の中で高位の存在です。ですから同族ということです」


「なるほど」




ナルが斎藤の疑問に素早くかつ丁寧に答えた。


ナルも信じられないという顔をしていた。



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