誠-巡る時、幕末の鐘-
狐の憑き主だったはずの男の予想外の最期に、誰もが驚きを隠せなかった。
「てめぇ、仲間だった奴を!!」
「仲間??私達が人間を仲間にするわけがないさね。利用価値があったから利用しただけのこと」
「外道が」
奏は短く吐き捨てた。
「ナル、刀」
「え??しかし」
「こいつを元老院に引きずり渡す」
この男は奏の前で堂々と元老院の院則を犯した。
しかも、院則の三大原則の一。
人をあやめることなかれ。
厳罰が下ることはまず間違いない。
だが、ナルは刀を渡すことを渋った。
「奏、力まだ回復してないんだから」
「ここは僕達に任せてよ」
「そうそう!!なーんかやれそうな気ぃするもんな」
「一応人間の姿してるしな!!」
土方達も刀を抜き、飛びかかってきた者達の相手をしだした。