誠-巡る時、幕末の鐘-



「ふぅ。まったく、うるさいハエがぶんぶんと」




ザシュッ!!!




「次の相手は君??」




珠樹が今しがた倒した奴から刀を引き、血を凪ぎ払った。


ピシャッと庭石に血飛沫が飛ぶ。




「あなたのお返事を聞かせて頂きたいのですが、その必要はなさそうですね」


「当たり前。さぁ、刀を抜けば??女だからって容赦はしないよ」




珠樹は蜜緒と対峙していた。




「私達の願いを邪魔されるわけにはいきません。……ここで散っていただきます」


「それはこっちの台詞。……奏をおいて死ぬわけにはいかないんだよ」




しばらくつばぜり合いが続いた。


相手も必死なために決定打が出せない。




「君さぁ、なんでそんなに必死なの??元老院に連れていかれたら厳罰が下るでしょ」


「時雨様のためだからですよ。あの方のためならば命など」




蜜緒は淀みなく言った。


女だてらに次々とキレのある剣筋を繰り出してくる。



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