誠-巡る時、幕末の鐘-
―――道場
「……甘い」
「うっ!!」
「遅い」
「ぎゃあっ!!」
「しつこい」
「そんな〜(泣)」
先に言っておくと、これは飯屋での話ではない。
現在進行形で奏が隊士達に八つ当た…ではなく稽古をつけている。
「相手にならん。全員で来い」
『うぉぉぉぉっ!!』
その言葉に火をつけられ、一斉にかかっていった隊士達。
バキボキッ!!
『ぎぃやーぁっ!!』
だが、哀れ。
一太刀も浴びせることはできなかった。
逆に道場には、不穏な音と隊士達の断末魔のごとき叫びが響いた。
(……ふぅ。体動かしたら随分スッキリした!!)
そこら中に転がっている隊士達とは対照的に、奏は大層ご満悦だ。
「楽しそうなことやってるね〜」
「ただの隊士達への八つ当たりにしか見えないがな」
声の方を見ると、沖田と土方が揃って道場に顔を出していた。