誠-巡る時、幕末の鐘-
蜜緒は待っていた。
奏が疲れて刀を下ろす時を。
今、奏は人間の女と変わらない。
剣術の腕は一見落ちていないかのように見えるが、体力が続かないはずだ。
それに普段ならば、一人で一気に片付けられるはずの量だ。
「………………来た!!」
奏が刀を下ろしたのを見て、蜜緒は屋根まで跳躍した。
奏の背後をとり、捕らえようとした。
…………………が。
「させねぇよ」
誰かが蜜緒の腕を逆に逆手にとった。
蜜緒はハッと後ろを振り向いた。
「……………何故、あなたが」
「俺と響に化けて騙そうとしてくれたらしいじゃねぇか。たっぷりと演技指導してやろうか??」
「鈴、響は??」
凍てつくような瞳を向けられ、鈴は目線を少しずらした。
直視するのは辛い。