誠-巡る時、幕末の鐘-
「………どうしてあいつの肩をもつ??」
奏は蜜緒に尋ねた。
理解できない。
自分を殺せと言われたのに、命乞いをするなんて。
「……私にはあの方しか……」
蜜緒は時雨から目をそらさなかった。
「私と時雨様、そして潮様は幼なじみだったのです。とても仲が良い…。親がいない私を二人が兄のように世話を焼いてくれました」
「…………」
蜜緒が懐かしそうに話すのを奏は黙って聞いていた。
しかし、蜜緒の表情は次第に悲しげなものになった。
「でも……。潮様が元老院に仕えることになった時から時雨様は変わられた。本当はあんな方じゃないんです!!本当の時雨様は……優しくて、仲間を大切にして……」
「もういい。もう泣くな」
蜜緒はポロポロと涙を流していた。
昔の時雨を思い出しているのだろう。
奏は背を優しく撫でた。