誠-巡る時、幕末の鐘-
ピーッ
蜜緒が口笛を吹くと、それまで土方達を取り囲んでいた狐達が急に大人しくなった。
刀をすぐに納めた狐さえいる。
「あとは……」
奏は彼方達のもとへと走った。
途中で蜜緒が投げた刀を拾って鞘から抜いた。
キンッ!!
カシッ!!
「二人共、刀を引いて。この男は正規の裁きを受けさせなきゃ」
奏が左で彼方と鈴、右で時雨の刀を受けとめた。
土方達も初めてみる、奏の二刀流だ。
「すっげ。あれを一人で」
「鬼としての力がなくても奏ちゃんの剣術の腕は一流ってことだね」
「あぁ。あいつはやっぱりすげぇよ」
「屯所に戻ったら一試合したいな」
土方達は奏の腕を再確認していた。
屋敷の裏に行っていたナルや珠樹も戻ってきた。