誠-巡る時、幕末の鐘-



鈴が時雨の手を背中に押さえつける。


カシャンと時雨の刀が地面に落ちた。




「蜜緒、お前……」




時雨は側まで来た蜜緒を睨み付けた。


蜜緒は時雨を哀しげに見たが、目はそらさなかった。




「時雨様。元のあなたに戻ってくださるならとついてきました。もう終わりにしましょう??」


「何を今さら。こいつらにほだされたのか!!?」




時雨は口調を改め、蜜緒に詰め寄ろうとした。


だが、鈴がそれを許さない。




「…………くっ!!」


「時雨様、私も共に罰を受けます。私はずっとあなたの側に」




蜜緒は覚悟を決めていた。


人間を殺した時雨は最悪、死罪になる。


それでも共に罰を受けると言った。


生半可な覚悟ではできないことだ。


時雨は唇を噛みしめ、うなだれた。



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