誠-巡る時、幕末の鐘-



「奏っ!!」


「奏ちゃん!!」




みんなが炎の中、屋敷に入ろうとしたのを彼方が止めた。


ジッと炎を見つめている。




「兄上、邪魔!!奏が中にまだいるんだよ!!?」


「そうだぜ!!早く助けにいかねぇと!!」


「あいつ、まだ力戻ってねぇのに」


「僕が行くよ。君達は来ないで」




邪魔だからと言わんばかりだ。


みんなも納得するはずがない。




「彼方、お前………」


「とにかく、連れてくる。場所も分かってるんだし」




そう言うと、彼方は一人、屋敷の中へ走っていった。


みんながそれに続こうとすると、今度は鈴が止めた。




「待て。彼方に任せてやってくれ」


「鈴まで何を」


「いいから!!」




鈴に押し切られ、渋々残ることにした。


時雨をこの場で殺したいぐらいの衝動を抑えて。



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