誠-巡る時、幕末の鐘-
―――屋敷の中
「けほっ、けほっ。………あった!!!」
奏は火と煙にまかれながらも、何とか目的のものを取り戻した。
これは大切なみんなからもらった大切なもの。
これだけは失えない。
奏がここに来るまで着ていた着物には、みんなからもらった贈り物が袖にしまわれていた。
「けほっ!!狐火で火ぃつけたんだな??鈴、油断してたのか」
奏は落とさないようにしっかりと持ち、着物の袖で口元を押えて部屋からでようとした。
………しかし。
バキッ!!
ガラガラッ!!
天井の梁の一本が奏と部屋の扉の間に落ちてきた。
奏は一瞬動きを止めた。
「…………あ、れ??この光景………」
奏は既視感に襲われた。
目の前の光景が、幼い頃の忌まわしき記憶に重なった。