誠-巡る時、幕末の鐘-
「奏、体の方は大丈夫ですか??」
「…………輝耀??」
「え??」
布団の横で粥の用意をしていた響は思わず聞き返した。
輝耀は響の母親の名だ。
「奏、一体……」
「何故私の名前を??」
「…………そんな……」
木のさじがカランと音を立てて畳に落ちた。
響は口元を手で覆った。
「あんたは……」
奏が響に問いかけようとした時、障子が勢いよく開いた。
「奏!!」
「奏ちゃん、記憶がぬけてるって本当!!?」
奏は入ってきた珠樹と沖田を睨み付けた。
その後ろには土方達もいる。
「あんた達、誰??」
奏は京都に来てからのことを全て忘れていた。