誠-巡る時、幕末の鐘-
「奏様!!」
「…………………爺??」
「はい。はい、そうです。奏様」
爺は深々と頭を下げた。
「爺、生きていたか。何千年ぶりか」
「奏様、二週間ぶりですよ」
「は??」
奏は爺の言葉に訝しげに眉をひそめた。
爺はこの状況の説明をなるだけ早く奏にすることにした。
「あなた様は今、記憶が三月あたりから抜け出ておられます」
「はい??」
奏はぐるっとみんなを見回した。
そして鈴と紫翠の姿を見つけると、瞳の輝きは強くなった。
枕元に置いてあった刀を手にとった。
「奏様、もうあの二人、風戸は敵ではありません。確執はなくなりました」
「………爺、知っていることを全部話して」
「分かりました。ここでは狭いので広間に行きましょう」
「……あぁ」
奏は起き上がり、爺の後についていった。
みんなも沈痛な面持ちでそれに続いた。