誠-巡る時、幕末の鐘-
―――大広間
「………と、いう訳です」
爺がなるだけ詳しく説明を行った。
自分が知ることの大体全てだ。
「なるほどな。ということは。私はここで仕事をしていて、風戸とは和解して、翁やミエ様から戻るように指示を受けているのを無視し続けていて……要するに本当に記憶がないと」
「そうです」
奏は土方の方をちらりと見た。
膝の上には澪ちゃんが不安げな顔でこちらを見つめている。
奏はにこりと笑った。
「澪ちゃん、もう帰りましょうか」
「いや!!としたちといる!!」
「…………」
ギュッと土方の着物を掴み、いやいやと首を左右に振った。
奏はパチパチと目をしばたかせた。
澪ちゃん、人見知りするはずなのに!!
澪ちゃんの行動に大きな衝撃を受けた。