誠-巡る時、幕末の鐘-
「ミエ様、澪ちゃんは…」
「ただいま」
千早が広間に入ってきた。
「ん??澪よ、泣くな」
「ちはや……」
千早は澪ちゃんの涙を優しく裾で拭った。
「ちはや、かなでのきおく、もどらない??」
「そうだ!!千早ならなんとか…」
「残念だが……」
浮き足立った土方達だったが、千早は苦虫をかんだような表情で口を開いた。
「無理矢理思い出させるのは危険だ。鬼切の効力も消えていない今は我の力を受け止めきれるだけの力がない」
「そんな……」
せめて鬼切のことがなければ……。
そう悔やんでも仕方がない。
「鬼切はこちらで始末しておくわ。さ、奏行くわよ??」
「はい」
奏はみんなに軽く視線を投げた後、ミエについて行った。
別れの言葉も告げずに。
何もなかったかのように。
…土方達は奏が出ていった事実を認めるしかなかった。