誠-巡る時、幕末の鐘-
記憶の鍵
―――元老院
「聞いたか??ローゼンクロイツ・天宮の末の姫、ミエ様の懐刀の二人のうち一人、雷焔奏が記憶を失ったらしい」
「本当か??確か翁から日本の京都??に行くように命じられてなかなか戻ってこなかったとか」
「あぁ。これ幸いとばかりにミエ様が連れ戻したらしい」
「溺愛してらしたものなぁ??内親王と同じく」
「人間に盗られたとここ最近荒れておられたからな。やっと落ち着く。ミエ様の駄々漏れの力は最悪の凶器だ」
奏は東屋の屋根の上で昼寝をしていたので、下で行われている会話が丸聞こえだった。
ストンと地面に着地し、噂をしていた男達を睨み付けた。
「あ、いや、その」
「俺達……その」
「主のことをもう一度悪く言ってみろ、二度とその口開かなくしてやる」
「ひいっっ!!」
今にもやらんばかりの目線をぶつけられ、男達はその場からよろめきながら去っていった。