誠-巡る時、幕末の鐘-



「奏」




男達が去った方とは別の方から優雅な足取りで一人の男が近づいてきた。


優しげに笑うその男は見るもののほとんど全てを魅了する力を持っている。


金髪を腰のあたりで結っており、風に緩やかになびいている。




「潮様」


「ちょっといいかい??」


「えぇ。それは??」


「君が好きなお菓子だよ」




潮は手に持っていた盆の上に乗った布をとった。


そこにはいい匂いのする焼き菓子が乗せられていた。




「わぁ!!ありがとうございます!!」


「まぁ、座ろうか」


「はい!!」




東屋に置いてある椅子に腰掛け、潮は机の上に盆を置いた。


いつでも紅茶が飲めるようにとレオンがここに置かせた一式で紅茶をついだ。




「潮様、いいんですか??レオン様のものを勝手に」


「構わないよ。ちゃんと許可は取ってるから」




潮の笑顔に、ついつい押され、奏は紅茶に口をつけた。



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