誠-巡る時、幕末の鐘-



「な、な、何!!?」




思わずどもってしまった。


一体何だというのか。




「ミエ、独占欲強すぎだよ。鳥籠に無理矢理閉じ込めた鳥は楽しげにさえずってはくれない。分かるね??」


「………分かるけど、分かりたくない」


「じゃあ、ミエは鳥籠に閉じ込めるつもり??」




潮はじっとミエの瞳を覗いた。


色素の薄い黒い瞳に、ミエは吸い込まれそうになった。


その瞳はそらすことをよしとしていなかった。




「……………しない」


「ミエが奏を大事に思う気持ちは分かるよ。でもね、奏にも気持ちはある。今は本当の奏とはいえない。奏にとって大事な期間の記憶がないからね」


「…………」


「潮様、そろそろ」




それまで空気のようにその場にたたずんでいた副官が潮に促した。


しきりに時計台を気にしている。



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