誠-巡る時、幕末の鐘-
「分かったよ。…いいね??奏が大切なら、見守ることも必要だよ??」
「…………」
「返事」
「……はい」
ミエは唇を噛みしめた。
見守ってて、帰ってきてくれなかったら??
今度は私のことを忘れたら??
不安。
焦り。
恐怖。
そして………嫉妬。
様々な感情が胸に渦巻いていた。
「後でお菓子をあげるから僕の執務室へおいで??」
「うん」
「じゃあ、行こうか」
「はい」
潮は副官を伴って今度こそ舎館に向かった。
「ミエには悪いけど、今回は僕も傍観者じゃいられない。……時雨達は??」
「第四課の獄舎に。殺害された人間については京都に残ったナルが処理しています」
「そう。……ナルがね」
潮は首だけ後ろを振り向き、二人の様子を見た。
薄く微笑み、顔を前に向け歩みを進めた。
あとは己次第。
どうなるかは誰にも分からない。