誠-巡る時、幕末の鐘-



「分かったよ。…いいね??奏が大切なら、見守ることも必要だよ??」


「…………」


「返事」


「……はい」




ミエは唇を噛みしめた。




見守ってて、帰ってきてくれなかったら??


今度は私のことを忘れたら??




不安。


焦り。


恐怖。


そして………嫉妬。


様々な感情が胸に渦巻いていた。




「後でお菓子をあげるから僕の執務室へおいで??」


「うん」


「じゃあ、行こうか」


「はい」




潮は副官を伴って今度こそ舎館に向かった。




「ミエには悪いけど、今回は僕も傍観者じゃいられない。……時雨達は??」


「第四課の獄舎に。殺害された人間については京都に残ったナルが処理しています」


「そう。……ナルがね」




潮は首だけ後ろを振り向き、二人の様子を見た。


薄く微笑み、顔を前に向け歩みを進めた。




あとは己次第。


どうなるかは誰にも分からない。



< 882 / 972 >

この作品をシェア

pagetop