誠-巡る時、幕末の鐘-
―――十日後
「………………」
「………………」
屯所の奏の自室には、今日も客人が来ていた。
ごろりと寝転がり、天井を見つめている。
「…………ねぇ」
「何??」
「君は奏ちゃんがいなくなったのにまだいるの??」
「悪い??」
「そういうわけじゃないよ。ただ意外だなって思っただけ」
「別に。雷焔の里には行きたくないし、風戸に戻るつもりもないからここにいるだけ」
「そう」
「……………」
「……………」
再び沈黙が訪れた。
そもそも会話されることは滅多にない。
言い争うこと抜きで。
それがこの二人、沖田と珠樹だ。
「……………」
「…………奏ちゃん帰ってこないかなぁ」
「……………」
「……………なんか反応してよ」
「……………」
珠樹は無言を貫いた。
無視とも言う。