誠-巡る時、幕末の鐘-



「ねぇ、僕達さぁ、奏ちゃんのこと抜きにしたら分かりあえると思うんだよね??」


「…………根拠は??」


「だって僕達、似てるでしょ??」


「………………」




沖田はくすくすと笑った。


珠樹には何が楽しいのか分からない。


またそれか、と深く追及するのはやめた。




「でも本当………帰ってこないかなぁ??土方さん達も澪ちゃんも元気ないし、栄太は“奏お姉ちゃん、どこ??”って聞いてくるし」


「……………」


「はぁ。また無視??せっかく歩み寄ってるのに」




沖田が上半身を浮かせて何気なく珠樹の方を見た時……。




「…………奏(ちゃん)??」




障子に見慣れた影が映った。


今、一番見たかった影だ。


見間違えるはずもない。




シャッ




「……………邪魔したな」




スッ




「わ、誤解だって!!」


「ちょ、待って!!」




あらぬ誤解をしたのか、奏は開けた障子をすぐに閉めようとした。


当然二人は慌てふためき、何とか障子を開けておくことを死守した。



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