誠-巡る時、幕末の鐘-



「土方さん、桜花見ませんでした??」


「俺は土方。………ふぅ。いや、見てねぇ」


「そうですか。寒いのになぁ」




奏は両腕をさすった。


上から綿がたくさん入った半纏を着ているが、まだ寒い。


今年の冬は厳しくなりそうだ。




「総司知らねぇか??」


「沖田さんなら子供達と一緒に遊んでます。澪ちゃんも一緒に」


「……あの野郎、また仕事放り出しやがって」




土方の肩がわなないた。




これは怒り心頭に達した合図………だよな??


……逃げよ。




まだ記憶が“戻った”わけではないので、学問と同じく、“知って”もすぐ忘れていることもある。


そこらは要注意だ。


特に怒りっぽい土方には☆


地雷を踏んではたまらない。


奏はとばっちりがくる前に足早にその場を離れた。



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