誠-巡る時、幕末の鐘-
「なんかみんな元気なかったんだ。奏お姉ちゃんがいなかったからだよ!!」
「はは。……桜花を見なかったか??」
奏は栄太と目線を合わせるためにしゃがみこんだ。
「ううん。今日はまだ見てないよ??」
「そうか。沖田さん達について行ったのかな??」
「総司は??」
「たぶん…壬生寺の境内で子供達と遊んでるよ」
栄太の顔がパアッと輝いた。
子供らしくていいことだ。
澪ちゃんも普通の子だったら、こうやって友達と大勢で遊べたろうに。
今だに近所の子供達と馴染めずにいる少女を思い巡らした。
特別に一般人にも見えるように器を作らせたので、見えない訳ではないのだ。
現に栄太や千早には懐いている。
やはり、あの子は大人の中で、限られた中で生きている。
不憫だと思わずにはいられなかった。