誠-巡る時、幕末の鐘-
「雪で猫かぁ。まぁ、できないこともないかな??」
「奏、おめぇ、寒いのにいいのか??」
原田が不思議そうにしている。
さっきまで寒い寒い言っていたからだ。
「澪ちゃんの頼みなら断れないよ」
「斎藤も子煩悩になるって思ってたけどよ、お前は絶対親馬鹿になるな」
後ろから聞こえてきた声に振り返ると、土方が煙管をふかしながら歩いてきた。
奏はニヤリと笑った。
「ご安心を。親になる予定は一切ないんで」
「えーっ。それは困るなぁ」
「何であんたが困る」
理解できない。
いやいや、何すっごく不満そうな顔してんの??
え??
何でそこで笑顔に変わる??
「奏ちゃん、既成事実…」
ニャアー
「桜花!!?」
沖田の声は、猫の鳴き声に反応した奏の耳には届かなかった。