誠-巡る時、幕末の鐘-



「桜花どこだ??」


「ほらな??帰ってきたろ??」


「桜花〜、奏が探してるぞ〜??」




だが桜花の姿はない。


奏は庭一面を見回した。




ニー




「…………桜花」


「ほら、こっちこいよ」




桜花はいた。


植えられた木の後ろからこちらを見ている。


だが、こちらに来ようとしない。




「桜花??どうしたんだ??」


「んなとこいたら足冷てぇだろ」


「足ふいてやるから来いよ」




不思議に思った土方達に、さらに不可解な一言が耳に入ってきた。




「………桜花、体はどこに置いてきた??」


『は??』




奏の眉根が次第に寄せられていく。




「おいおい、奏。置いてきたって、お前、桜花の体なら目の前に……」




永倉の言葉は最後まで口にされることはなかった。



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