誠-巡る時、幕末の鐘-
「桜花!!お前、体、透けてんじゃん!!」
先程までははっきりしていた姿がゆらりと揺れたかと思うと、ゆっくりと透け始めていた。
その姿に、みんなハッと息を呑んだ。
ニャー
チリン
首につけられた銀の鈴を鳴らし、塀に飛び乗った。
「あ、お待ち!!」
奏はすぐさま駆け寄ろうとした。
だが、それは新たな帰参者の第一声に阻まれた。
「奏!!桜花が!!」
珍しく息を切らした山崎だった。
桜花を塀の向こうで見つけたのを知らせるような表情ではない。
驚きと戸惑い、そして悲しみ。
それらがごちゃ混ぜになっている。
………………あぁ。
桜花、お前も私を……。
…………置いて逝くんだね??
奏は自分の足元が簡単に崩れ落ちていくのを感じた。