誠-巡る時、幕末の鐘-



「………一度屯所に戻る」




鷹の手が緩んだ時に腕を払い、桜花の体を抱き起こした。


そのまま屯所へと向かっていく。


その背をみんなは黙って見つめていた。




「…………くそっ!!」


「おい、鷹、あいつ」


「あぁ、完全に完璧に怒り狂ってやがる。前にも言ったろ??元老院の三大原則」

「人を殺さない、傷つけない、干渉しない、だっけ??」


「あぁ。後の二つはどうにかなるといえばなる。傷ふさいで記憶消せばいい話だ。だが、最初のだけはどうしようもならない」


「確かに」


「一度冥府に下った者を生き返らせることこそ重罪だからだ。元老院の者でも厳罰どころじゃすまない」




鷹は唇を噛みしめた。




「奏の奴、桜花の仇をとるつもりだよな??」


「あぁ。……厄介なことにこの人を殺さないってのにも条件があってな」




苦々しげに口にする鷹に、全員の目線が集まった。



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