誠-巡る時、幕末の鐘-



「家族を殺された場合、それが無条件に許される。桜花を飼っていたのは奏だ。つまり……奏の言っていた通り“大切な家族”だ」


「………それって猫でもか??」




仇をうって実は動物は不可だ、なんてことになっては洒落にならない。


また奏が連れていかれてしまう。


それだけは避けなければいけない。




「人間だの人間じゃないの言うのはお前達人間だけだ。奏は家族の愛に、温もりに飢えている」




土方達にも十分それは分かっていた。




「しかも…人間は嫌いだといってはばからない。当然……殺すさ。関わった長人全て。あるいは……長州藩自体をつぶす。人も何もかも」




それはつまり、関係のない人まで怒りに任せて殺すということだ。


風戸で暴走した時のように。


今回はなお酷い。


ただの人だ。


それも何十万人。




「おい、屯所へ戻るぞ!!」




土方の声を合図に、みんなは雪の積る道を屯所まで急いだ。



< 911 / 972 >

この作品をシェア

pagetop