誠-巡る時、幕末の鐘-
「家族を殺された場合、それが無条件に許される。桜花を飼っていたのは奏だ。つまり……奏の言っていた通り“大切な家族”だ」
「………それって猫でもか??」
仇をうって実は動物は不可だ、なんてことになっては洒落にならない。
また奏が連れていかれてしまう。
それだけは避けなければいけない。
「人間だの人間じゃないの言うのはお前達人間だけだ。奏は家族の愛に、温もりに飢えている」
土方達にも十分それは分かっていた。
「しかも…人間は嫌いだといってはばからない。当然……殺すさ。関わった長人全て。あるいは……長州藩自体をつぶす。人も何もかも」
それはつまり、関係のない人まで怒りに任せて殺すということだ。
風戸で暴走した時のように。
今回はなお酷い。
ただの人だ。
それも何十万人。
「おい、屯所へ戻るぞ!!」
土方の声を合図に、みんなは雪の積る道を屯所まで急いだ。