誠-巡る時、幕末の鐘-
「奏お姉ちゃん、桜花は??桜花はまだ死んでないよね??」
「………」
「ねぇ!!?」
「………もう………死んだよ」
栄太は顔を歪ませ、耳にしっかりと手を当てた。
いやいや、と首を左右に振った。
「栄太、桜花は…」
「どうして奏お姉ちゃんは泣いてないの!!?何でそんなに平気でいられるの!!?」
「栄太っ!!」
奏が再び口を開くと、栄太がきっと睨み付けた。
そして放たれた言葉に、奏は何も言えなかった。
咄嗟に原田が栄太を止めたが、栄太の怒りは治まらなかった。
「…………泣かないんじゃなくて、泣けないんだよ」
「…………どうして??」
「まだ何も成し得ていないから」
悲しみに暮れて涙を流すのは誰だってできる。
それこそ桜花を知らない者だって同情心で。
だけど、私はそんなもので終わらすつもりはない。
………………絶対に。