誠-巡る時、幕末の鐘-



「沖田先生が…負けた?」




道場は静寂に包まれていた。




「みなさん、ここにいらっしゃったんですか。食事の用意が出来ましたよ!!」




響が道場の戸を開け、元気よく告げた。




「あぁ、今行く。……行かないんですか?」




奏が響に返事をした後、一向に動こうとしないみんなに尋ねた。




(ん? 何だ? 食事いらないのか?)




「別にいいですけど…俺もう行きますから」




そう言い、道場を後にした奏。


響もその背についていった。


まるで子犬のようだ。


それはさておき……。




「今の見えたか? 斎藤」


「かろうじてならば」




土方の低い声に、斎藤も眉を寄せて答えた。



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