誠-巡る時、幕末の鐘-
「鷹、結界を」
「あ、あぁ」
奏はこの寒空の中、半纏を脱ぎ、着流し姿で庭に出た。
風が冷たく吹きすさんでいる。
「おい、どこに行く??」
不審に思った土方が尋ねた。
当然だ。
今の季節に着流しだけで外に出ようものなら凍死してしまう。
「家の中でこの薬飲んで何も壊さない自信なんて、生憎持ち合わせていないんでね」
奏は小瓶の蓋を開けた。
すると、中から強烈な匂いが漂ってきた。
これで効果なかったら、どうしてくれようか。
材料間違ってないだろうな??
……………よし、仕方ない。
「鷹」
「おう。………いいぜ??」
鷹が手をかざすと、庭だけを覆った幕のようなものができた。
奏は意を決し、小瓶の中身を一気に飲み干した。