誠-巡る時、幕末の鐘-



ひとしきり泣いた後、二人は桜花の体を抱き上げた。


目が真っ赤になって、とても痛々しい。




「奏お姉ちゃん、桜花のお墓作りに行こう」


「あぁ、そうだな。ほら、今日は満月だ。手元に困ることもない」




奏も腰を上げた。


元々最初から作りにいくつもりだった。




ミエ様に許可をもらって、屋敷の一角に埋めようと思ったが……。


……桜花も栄太の側がいいだろう。




「あそこがいい。初めて桜花と会った所」


「あの桜の木の所か。あぁ、いいな。そうしよう。行って来ますね」




奏は二人を連れて屯所を出た。


もちろん寒いのでしっかりと防寒させて。




「おい、俺達も行くぜ!!」


「穴掘るんなら男手が必要だろ??」


「俺達もたくさん桜花に助けられたしな」


「あぁ。最期まで見送ってやらねば」


「桜が綺麗に咲く木の下にしようね」




奏達を追いかけるように永倉達も屯所から出てきた。



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