誠-巡る時、幕末の鐘-
―――四半刻後
「これくらいか??」
「そうだね」
永倉達が堀った穴を奏が確認した。
少し深いが、他の何かが掘り起こしてしまわないとも限らない。
そう考えると妥当な深さだった。
「栄太、桜花を」
斎藤が栄太から桜花を受け取り、穴に横たえた。
周りには鷹が元老院に行った時に持ってきた花が添えられている。
日本では目にすることのない珍しい花もある。
桜花はまるで花籠で昼寝をしているかのようだ。
「おうか…」
「栄太くん、澪ちゃん。もう土をかぶせますよ??」
山南が二人の肩を優しく抱きしめ、その場から少し離した。
永倉と原田が、穴を掘る時よりも、簡単に土をかぶせ終える。
そこだけ色が違う、なだらかな土の膨らみができた。
「桜花。必ず仇はとる。安心して眠りにつくがいい」
奏は持ってきた四角い木を土に立て、手を合わせた。
みんなもそれに倣った。