誠-巡る時、幕末の鐘-



―――四半刻後




「これくらいか??」


「そうだね」




永倉達が堀った穴を奏が確認した。


少し深いが、他の何かが掘り起こしてしまわないとも限らない。


そう考えると妥当な深さだった。




「栄太、桜花を」




斎藤が栄太から桜花を受け取り、穴に横たえた。


周りには鷹が元老院に行った時に持ってきた花が添えられている。


日本では目にすることのない珍しい花もある。


桜花はまるで花籠で昼寝をしているかのようだ。




「おうか…」


「栄太くん、澪ちゃん。もう土をかぶせますよ??」




山南が二人の肩を優しく抱きしめ、その場から少し離した。


永倉と原田が、穴を掘る時よりも、簡単に土をかぶせ終える。


そこだけ色が違う、なだらかな土の膨らみができた。



「桜花。必ず仇はとる。安心して眠りにつくがいい」




奏は持ってきた四角い木を土に立て、手を合わせた。


みんなもそれに倣った。



< 925 / 972 >

この作品をシェア

pagetop