誠-巡る時、幕末の鐘-
「その血、どうしたんだ?」
「これですか?今日刀鍛冶から受け取ったんで、試し切りを猫でしたんです」
「猫の……」
悪びれずに答えた男に、二人は顔をしかめた。
試し切りとはいえ、猫の命を奪うのはいかがなものか。
だが、無実の人の血ではなかったことに安堵し、それ以上は追求しなかった。
「俺も次はそこに出したいから教えてくれよ」
「これは……」
「無理」
男達の頭上から冷ややかな声が男達の耳に届いた。
サッと上を見るが、高い木しかない。
屋根の上かと思って見回すが、人一人見つけられないでいた。
「何故か。それはお前達の生はここで終焉を迎えるからだ」
「何者だ!!」
「姿を現せ!!」
正体が分からないので、男達は刀を抜き、声を張り上げた。